デカフェコーヒーの輸入推移から見える、新たなコーヒー習慣

朝の目覚めの一杯に、ホッとひと息つきたいときに、作業に集中したいときに、何気なく楽しんでいるコーヒー。様々な統計結果をもとに数字という側面から分析してみると、日本人特有の文化や新たな傾向を見つけることができるかもしれません。第2回目は、近年、輸入量が増加傾向にある「デカフェコーヒー」に着目。人気の理由を紐解きます。
Contents
いいとこ取りのデカフェコーヒー

コーヒー豆や茶葉、カカオ豆などに含まれる天然成分のカフェインには、さまざまな効果があるというのはよく聞く話。具体的には、眠気覚まし、集中力の向上、疲労感の軽減、頭痛の緩和、がんや糖尿病といった病気の予防などが期待できます。その一方で、過剰な摂取は不眠、めまい、吐き気、離脱症状といった副作用によって、心身に大きな影響を与えることも。個人差はありますが、カフェインを摂取する際には、適度な量と適切なタイミングを意識することが必要とされています。
こうしたカフェインの作用を踏まえて、いま一度注目したいのが「デカフェ」です。デカフェとは英語の「デカフェネイテッド」の略で、「カフェインを取り除いた」という意味。カフェインレスとも言われます。コーヒーに限らず紅茶やお茶などから除去した場合もこのように呼び、近年、国内におけるデカフェコーヒーの輸入量は増加傾向にあります。

全日本コーヒー協会|統計資料のページより
全日本コーヒー公正取引協議会は、デカフェコーヒーを「カフェインを90%以上除去したコーヒー」としています。通常のコーヒーには、100ml当たり約60mgのカフェインが含まれているのに対し、デカフェコーヒーはわずか6mg未満。
デカフェコーヒーは就寝前でも気軽に飲むことができ、胃への負担が気になる方、利尿作用が心配な方、妊娠中や授乳中の方など、「コーヒーが大好き、けれどもカフェイン摂取量を減らしたい」方にとっての選択肢となり、従来はコーヒーを控えなければならないとされていた場面でも取り入れられるようになりました。こうしたメリットは、2000年から現在にかけて輸入量が大きく変化している理由のひとつにあげられそうです。
健康意識が高まる現代人

カフェインの摂取を減らしながら、いつものコーヒー習慣を楽しむことができるデカフェコーヒー。私たちのライフスタイルや健康意識の変化もまた、需要の高まりを後押ししているのかもしれません。
たとえば、世界中で大流行した新型コロナウイルスをきっかけにネットサービスが充実し、すっかり馴染み深くなったテレワーク。不要不急の外出を控えていた数年前に労働環境が大きく変化し、コロナ禍を経たいまでも、以前より自宅での時間が増えたという人は多いのではないでしょうか。通勤通学時間が減少するとともに、運動量も一気に減少。こうしたライフスタイルの変化がこれまでの生活習慣を見直すきっかけになり、コーヒーの取り入れ方も変化しているのではないかと考えられます。
そんななか、デカフェコーヒーは翌朝早起きの日の夜、イベントや映画の前の利尿作用が心配なとき、カフェインを摂りすぎたくないときなど、ライフスタイルに合わせた心強い選択肢であり強い味方になっています。
さらに、これまでカフェインの含有量が少ないため、通常のコーヒーに比べてコクや風味がないとされていたデカフェコーヒーですが、近年ではカフェインを取り除く技術が向上し、味も改善され取り入れやすくなっています。
飲む時間帯や場面を気にせずに、おいしく安全に楽しめるデカフェコーヒーは、多忙な現代人に合った飲み物。そんな一杯を飲むという新たな選択が、私たちのコーヒーライフをより豊かにしてくれるのではないでしょうか。