数字で見つける、お好みの一杯!

朝の目覚めの一杯に、ホッとひと息つきたいときに、作業に集中したいときに、何気なく楽しんでいるコーヒー。様々な統計結果をもとに数字という側面から分析してみると、日本人特有の文化や新たな傾向を見つけることができるかもしれません。第1回目は、日本人好みのコーヒーの味を探ります。

日本人とコーヒーの関係性って?

そもそも、お茶文化が根付く日本人にとって、コーヒーとはどのような存在なのでしょうか。

歴史を遡ると、オランダ商人によってコーヒーが伝来した江戸時代や西洋文化を積極的に取り入れた明治時代は、コーヒーは高級品であり独特な苦味があることから日本人にとっては受け入れがたいものでした。そんななか、昭和に入ると、都市部を中心に喫茶文化が普及。コーヒーは新たなライフスタイルの象徴として、徐々に人々の間で関心を高めていきました。コーヒー豆の輸入は戦争により一度途絶えましたが、戦後、インスタントコーヒーや缶コーヒーといった手軽に楽しめるコーヒーの登場で大衆化が一気に進み、国内におけるコーヒーの消費量は増加傾向で推移してきました。

日本国内の嗜好飲料の消費の推移

その結果、コーヒーの消費量は緑茶を上回るものとなり、お茶と同じようにコーヒーは私たちの日常生活に溶け込み、今ではすっかり身近な存在になっているのです。

こうしたなかで、日本人が好むコーヒーの味にはどのような特徴があるのでしょうか。

日本人は “バランス” 重視

コーヒーの味の好み
好きなコーヒー豆の種類

統計結果から見えてくるのは、コク・苦味・酸味が全てバランスよく調和されたクセのない一杯。味の基盤となるコーヒー豆の種類で見てみると、「モカ」、「ブルーマウンテン」、「キリマンジャロ」といった日本人にとってはなじみがあり、比較的飲みやすい種類が上位にあがっていることにも納得ができます。

最も人気があるモカはフルーティで爽やかな酸味が特徴的ですが、コクも甘味も感じられ、苦味が少なく初心者にもおすすめ。多くの人から愛される豆の一つです。続くブルーマウンテンは、コク・苦味・酸味・甘味などの調和がとれたコーヒー豆で、通称 “黄金のバランス” とも呼ばれています。また雑味がなくスッキリとした味が楽しめるのは、キリマンジャロやコロンビアも同様。酸味や甘味が強いですが、全体的にまとまりがあり飲みやすい味わいを引き出してくれます。

もちろんコーヒーの味は、豆の種類だけでなく焙煎方法や抽出方法によっても大きく異なりますが、日本人が好むコーヒーのキーワードのひとつに “バランス” があげられそうです。

世代を問わず愛されるブラックコーヒー

さらに意外なのは、日本人のコーヒーの飲み方です。

コーヒーに入れるもの 性・年齢別

普段の主な飲み方として、圧倒的に多くの割合を占めているのがブラックコーヒー。シンプルですっきりとした味わいを楽しむことができる一方で、「苦い」というイメージが強く、大人の飲み方として定着しているようにも思えますが、実は学生や20代などの若者にもブラックコーヒーは人気を集めています。コーヒー本来の風味をストレートに楽しむ飲み方は、世代を問わず愛されているようです。

好みのコーヒー豆や飲み方の統計から見えてくるのは、バランスを重視した日本人ならではのコーヒーの楽しみ方。味わいの違いを楽しみながら、自分好みのとっておきの一杯を探してみてはいかがでしょうか?