ホーム > コーヒーと美容 > 【連載第1回】シミの予防にコーヒーを。近藤和雄(医学博士)×倉田真由美(美容ジャーナリスト)

コーヒーと美容

コーヒーと美容

美人をつくる、コーヒーの飲み方

【連載対談】

近藤和雄(医学博士)
×
倉田真由美(美容ジャーナリスト)

近藤和雄(医学博士) × 倉田真由美(美容ジャーナリスト)

朝の目覚めや仕事のブレイクタイムになにげなく飲んでいるコーヒー。そのコーヒーに美容効果があることは、科学的にも証明されつつあります。では、コーヒーを飲んでキレイになるためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?

全日本コーヒー協会では、“コーヒーと健康”を研究するドクター・近藤和雄さん&美しい人生を追求する美容ジャーナリスト・倉田真由美さんに「美人をつくる、コーヒーの飲み方」について語り合っていただきました。

紫外線が気になる初夏に向けて、まずはシミの予防とコーヒーとの関係をひもといていきます。

連載第1回

シミの予防にコーヒーを。

「1日2杯以上」のコーヒーで、
シミの抑制効果が認められました。
(近藤)

倉田 コーヒーには様々な機能性があることが世界中の研究で明らかになっているそうですが、女性にとって一番興味があるのは、何といっても「シミ」の予防効果ですね。

近藤 シミの発生とコーヒーの摂取習慣の関係を調べてみたら、「コーヒーを飲んでいる人のほうがシミは出にくい」という結果が出たんです。しかも「1日2杯以上」のコーヒーを飲んでいる人は、かなり顕著にシミの抑制効果が認められた。これは中々インパクトのある研究結果だと思いますよ。

倉田 すごいですね! コーヒーがシミを予防するメカニズムは解明されているのですか。

近藤 神戸大学名誉教授の市橋正光先生たちのグループが研究に取り組んでいます。それによると、コーヒーに含まれるクロロゲン酸というポリフェノール(抗酸化物質)の働きによって、シミの原因となる色素成分のメラニン生成が約3割も抑えられることがわかりました。この研究は現在も継続中で、今後は「コーヒーによるシワの予防効果」などの解明も期待されています。

倉田 クロロゲンによるシミの予防効果はどのようにして調べるのですか。

近藤 同じ年代の人を、生活習慣の違いで比較するとよくわかります。一番わかりやすいのが双子です。たとえば、生活環境の異なる双子で「シワ」について比較調査をすると、住む場所が都市部と農村だと農村のほうが、喫煙の有無で比較すると喫煙者のほうが、有意差を持ってシワが多いという結果が出る。そこで、シミについても同様の比較検討による研究が行われたところ、コーヒーを飲む回数や量とのシミの発生状況との間に因果関係が見えてきたんです。

コーヒーの持つ抗酸化作用が、
シミ対策に重要なんですね
(倉田)

倉田真由美(美容ジャーナリスト)倉田 近年、美容の世界で「インフラメイジング」という言葉が使われるようになりました。これは「炎症(インフラメーション)」と「老化(エイジング)」をつなげた造語ですが、老化のベースには何らかの炎症がある–––という考え方。つまり、皮膚の老化もまさに炎症によるものなのです。近藤先生がおっしゃるように、外的要因、つまり“紫外線”によるダメージが肌の老化を加速させてしまうのですが、紫外線の影響でシミができる時、肌の中では軽い炎症が起きている。この炎症こそ、“酸化”なんですね。そう考えると、コーヒーの持つ抗酸化作用がシミ対策としてとても重要だという話がよく理解できます。

近藤 皮膚が紫外線を浴びた時、そのダメージを防ごうとして、メラノサイトという細胞が出てきます。メラノサイトはメラニンという色素物質を作り出し、これが黒くなることで紫外線から皮膚の細胞核を守り、役目が終わるといずれ消えていきます。ところが、紫外線の攻撃を頻繁に受けていると、黒くなったまま消えなくなってしまうことがある。これが「シミ」の正体なんです。

倉田 30代から40代の女性に聞くと、紫外線の影響で一番気にしているのはシミなんですが、じつは紫外線はもっと肌の奥まで到達していて、それがシワやたるみの原因にもなっているので、今は日差しの強い日だけでなく、365日、日焼け止め対策をするのが常識になってきています。「晴れの日だけ」「春夏だけ」というのは間違いなんですよ。

お相撲さんはお肌がツヤツヤ。
ちゃんこ鍋には抗酸化成分が大量に
(近藤)

近藤和雄(医学博士)近藤 「美容と抗酸化」を考える上で、私が思い出すのがお相撲さんです。お相撲さんって、みんな肌がツヤツヤしているじゃないですか。なぜだろうと思って色々と調べてみたら、どうやら食べ物が関係しているようなんです。お相撲さんの食べ物といえばちゃんこ鍋ですが、ちゃんこ鍋というのは、中に入れる食材は特に決まりはないんですね。色々なものを何でも入れて、具材だけでなくスープまで全部飲んでしまう。つまりお相撲さんは、様々な食材に含まれる抗酸化成分を毎日大量に摂取していることになるわけです。これもきちんと研究すると、面白い結果が出ると思います。

倉田 一つの食材だけに偏ることなく、色々なものを食べることが大事なんですね。私はよく「色のきれいなものを食べましょう」って言うんです。野菜や果物の中でも、色のきれいな食材ってありますよね。あの赤や黄色の鮮やかな色は、その植物が紫外線という外敵から身を守るために持っている色素の色なんです。だから中身だけ食べたのではもったいない。皮ごと食べることで美容効果が高まります。

近藤 ポリフェノールといって多くの人が頭に浮かべるのが赤ワインだと思いますが、赤ワインの色は、アントシアニンという抗酸化作用を持つ色素の色です。じつはあの赤は、ハイビスカスの色素と同じ成分なんです。そう考えると、たしかに「きれいな色の食材を」というのは理に適っています。その点、コーヒーは黒いから損をしていますね(笑)

外的要因からも肌を守り、
内面からもスキンケア対策を
(倉田)

倉田 コーヒーを飲むことに何となく罪悪感のようなものを持つ人もいるけれど、じつは美容や健康に役立っている––という明るい話題が出てきたことは、私のようなコーヒー好きにとってはうれしいですね。先ほど1日2杯のコーヒーでシミ予防の効果があるというお話がありましたが、他に目安になる量はありますか。

近藤 科学的に考えるなら、「1日に何杯」というよりは、ポリフェノールの含有量で考えなければなりません。私の考えでは、1日当たり1000ミリグラムのポリフェノールを摂取すると、効果的な抗酸化作用が得られると見ています。この量のポリフェノールをコーヒーだけで摂ろうとすると5杯、お茶だと10杯となります。お茶の10杯は大変ですが、コーヒーを1日に5杯飲む人って意外にいるんですよ。

倉田 会議が続いた日など、「今日はコーヒーを飲みすぎちゃった」なんて気にする必要はないんですね。

近藤 気にするどころか、むしろ堂々と飲んでほしい。もちろん、コーヒーだけで1000ミリグラムのポリフェノール摂取を賄うのは大変だという人は、それ以外の野菜や果物から総合的に摂ればいい。

倉田 そう考えると、昔の常識が今の非常識–––っていうことは珍しいことではないんですね。日光浴も、昔は「健康のため」とか「かぜ予防になる」と奨励されていたけれど、今では百害あって一利なし–––ですから。

近藤 紫外線にはビタミンDの合成という作用があって、これは骨の生成には重要なんですが、過剰に日に当たる必要はありません。普通に生活しているだけでも紫外線は浴びているので、わざわざ進んで日に当たりに行く必要もない。要はバランスの問題です。何事も「やり過ぎ」はよくないということです。

倉田 肌の老化の要因は、外的要素が8割に対して内的要因が2割といわれています。紫外線や大気汚染などの外的要因からきちんと肌を守り、その上でコーヒーを飲むことで内面からもスキンケア対策をはかっていくことが大事ですね。

構成・文:長田昭二(医療ジャーナリスト)
写真:平岩享
イラストレーション:カイフチエリ
更新日:2015/05/01

Profile

近藤和雄(こんどう・かずお)
医学博士。東京慈恵会医科大学卒業後、メルボルンのベイカー医学研究所へ留学。防衛医科大学校病院講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養部室長、お茶の水女子大学大学院教授・生活環境教育研究センター長を経て、現在東洋大学食環境科学部教授。日本栄養・食糧学会会長。 赤ワインに含まれるポリフェノールの動脈硬化予防の効果をいち早く実証し、世界的な医学雑誌『Lancet』で報告。
近藤和雄
Profile

倉田真由美(くらた・まゆみ)
美容ジャーナリスト。女性誌編集部、編集プロダクションを経て独立し、女性誌の美容ページや新聞のコラムなどで執筆活動を続ける。現在は「フィガロジャポン」(CCCメディアハウス)をはじめ雑誌などで活躍。また近年は、美容や健康にまつわる講演を行なうなど活動の場を広げ、 女性のライフスタイル全般における啓蒙活動にも力を注いでいる。近著は『しあわせ美人のつくりかた』(ぶんか社文庫)。
倉田真由美


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