COFFEE BREAK

インタビュー

インタビュー-Interview-

2023.05.31

和田明日香(料理家、食育インストラクター)

今は未来の"コーヒー友達"を育てているところです

料理愛好家・平野レミさんの次男と結婚後、"レミさんちのお嫁さん"としてメディアに出演したのをきっかけに、仕事をするようになった和田明日香さん。今では料理家、食育インストラクターとして、子育てと仕事の両立に多忙な日々を送っています。そんな明日香さんの毎日を支えてくれているのが"にがーい"コーヒーなんだとか。

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忙しい朝でも、しっかり飲みたいリセットの1杯

「コーヒーとのおつきあいは高校時代からですね。といっても、最初はもっぱら牛乳を入れたり甘く味付けされたりしたものばかりで、本格的にその美味しさに目覚めたのは、大人になってから。ある日、レストランで食後の飲み物を選ぶ時に、コーヒーを飲みたいけれどお腹はいっぱいだからもう牛乳や甘い味は欲しくないと思って、ブラックにしてみたんです。そうしたら、口の中がリセットされた感じで気分もほっとスッキリになって......ああ、食後のコーヒー美味しいなぁ、心地いいなぁって。それからブラックを飲むようになりました。

 豆の種類や、焙煎の度合いなどを自分なりにいろいろと試してみるうちに、"なんかこれ好きだな"と思って続けて飲んでいたのが、イタリアンローストのような深煎りの豆。そう、私はとにかく"にが!"、"濃い!"というのが好きなんです。"フルーティ"とか"酸味が強い"といわれる味も、飲むタイミングによって美味しいと思うこともありますが、基本的に家で淹れて飲むのは、ガツン!と苦い、真っ黒なコーヒーです」

 1日に何度となく訪れるコーヒータイム。当然ながら、飲む時間やその時の状況によって、同じコーヒーでも接し方が違ってくる。

「朝はとにかく忙しい。夫と子供3人分の朝食を作って送り出すので、いざコーヒーを淹れても、ゆっくり座って味わう余裕はなかなかありません。ごはんを出して、ちょっとコーヒー飲んで、子供が学校に持っていくプリントに必要事項を記入して、また飲もうと思ったら子供に呼ばれて子供部屋を見に行って、やっとキッチンに戻ってきてまたちょっと飲んで、送り出す、みたいな。隙間でしかコーヒーを飲めません。

 でも私は朝、キッチンに入ったらまずコーヒーを淹れたいし、淹れたらすぐに飲みたい。でも淹れたてはまだ熱い......でも飲みたい......。だから、マグカップにたっぷり入れた熱々の苦いコーヒーに牛乳を大さじ2くらい、加えるんです。熱々だとほんのちょっとすするくらいしかできないけれど、牛乳を入れると少しだけ温度が下がって、ごくんと飲める。まあいってみれば苦肉の策、ですかね(笑)」

 朝の嵐が去って、夕方、子供を学校に迎えに行くまでの間は自分の時間になる。

「仕事を始めてからは、日中、家で作業をして、子供を迎えに行く時間になると、ちょうど疲れを感じたり眠くなったりするので、コーヒーを飲んでリフレッシュしてから出かけます。家で仕事をする日は確実に2回以上、飲むことがわかっているので、ミル付きのコーヒーマシンで6杯分くらいとか、一気に淹れておいて、ランチの後や3時の休憩タイムなどにも飲みます。打ち合わせや収録で夕方までずっと外に出ている日は、朝に、個別に包装されているドリップ式のコーヒーを1、2杯分だけ淹れて飲んでいます」

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元気をくれるコーヒー、家族団欒のリラックスタイムにも

 料理愛好家・平野レミさんの次男と結婚した後に料理の修業を重ね、子育てのかたわら食育インストラクターの資格を取得。料理家としての活動の他にも各地での講演会出演や執筆業など、幅広く活動している。2年前からはラジオ番組のパーソナリティも加わった。

「日曜日の深夜に、疲れや不安で眠れない女性たちをターゲットに、トークと音楽、お便り紹介などを盛り込みながら、女子会に参加しているようなくつろいだ気分になってもらおうという番組です。リスナーの方々が日常の悩みやちょっとした気づきを私たちにシェアしてくださって、遠く離れた場所で聞いている方も、私にも似たようなことがあったな、とか、それ、わかるなあとか、そういう気持ちになってまたお便りが繋がっていくことがあったりします。

 私自身にとっても、日本のどこかで、こんな思いを抱えて生きている人がいることを考えられる、とても大切な時間です。料理家の仕事は、シェフとは違い自分が作った料理をその場で食べてもらうことはありません。アイディアを提案するだけで、実際に手を動かして作ったり食べたりしてくださるのは、届いた先の方々です。だから、発信することよりも受け取った時のことを考えてレシピを提案していかなければいけないと私は思っています。ラジオのお仕事をしていると、"ああ、こういう人たちがレシピを受け取って、作って食べてくれて生活しているんだな"という思いに立ち返ることができる。そういうことがとても好きで、続けているお仕事です」

 番組収録中、和田さんの傍らにはいつもコーヒーが。スタッフの方が淹れてくれて、ブースまで持ち込んでくれるのだ。

「私がコーヒー好きだということをわかってくださって、スタッフの方が淹れてくれます。淹れ方は彼女にお任せ。カフェに行った時を除いて、日頃は自分でコーヒーを淹れることがほとんどなので、誰かに淹れてもらって飲むというのはとても嬉しいし、美味しいものですね。これは元気をくれるコーヒーです。お便りを読んで、うんうん、とうなずいたりしながら、2口、3口とついつい進んでしまいます(笑)」

 夫もコーヒー好き。そして、義母の平野レミさんもコーヒー好きなので、家族一緒にコーヒーブレイクをすることもちょくちょくある。

「レミさんの家が近所なので、晩御飯のタイミングになると子供たちに電話をかけてもらって"ご飯できたけど食べる?"と聞いています。それでレミさんがうちに来ると、食後のおしゃべりも長くなるので(笑)、ゆるゆるとコーヒーを飲んだりします。子供たちにはまだコーヒーは早いけれど、以前、私がデカフェを飲んでいる時に、カフェインが入ってないから子供にも飲めるかも、と思ってデカフェでコーヒー牛乳を作ったことがあったんです。その時、子供たちは抵抗なく飲んでいたので、きっとコーヒーの味は好きだと思います。大きくなって苦いコーヒーを一緒に飲む日が楽しみですね。今は、未来のコーヒー友達を育てていると思いながら育児をしています」

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文・牧野容子 / 写真・松井秀樹 / ヘアメイク・久保フユミ(ROI)
更新日:2023/5/31
PROFILE
和田明日香
(わだ・あすか)
料理家、食育インストラクター。東京都出身。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、食育や家族のコミュニケーションをテーマに全国各地での講演会やイベント出演、コラム執筆など幅広く活動する。2021年に出版した著書『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)が2022年の第9回料理レシピ本大賞 in Japan 料理部門に入賞。最新著書『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』(主婦の友社)も発売前から重版が決定するなど、注目を集めている。他、主なメディア出演に『眠れない貴女へ』(NHK-FM・隔週日曜23:30~)、『和田明日香のア・レシピ』(RKB毎日放送・毎週土曜17:00〜)、『家事ヤロウ!!!』 (テレビ朝日系・毎週火曜19:00~)など。
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