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コーヒーと私

田口 壮【元プロ野球選手】

試合中、打席に立つ前は必ずコーヒー。
田口 壮【元プロ野球選手】

日本のプロ野球とメジャーリーグで活躍し、メジャーでは世界一を2度も経験した田口さん。大一番での勝負強さの源はコーヒーに?

 幼い頃から朝はパン食。両親はコーヒーで、僕は甘くしたコーヒー牛乳を飲むという生活でした。

 本格的に飲むようになったのはプロ野球選手になってからです。朝、家で数杯飲み、球場に着くとロッカールームのコーヒーメーカーでまず1杯、練習の合間やゲーム前にも1杯。そして、試合中も自分の打席に立つ前は必ずコーヒー、でした。自分にスイッチを入れるような感覚ですね。メジャーリーグに行ってからも、打順が近づくとベンチの裏にコーヒーを取りに行き、軽く飲んでから準備していました。飲んでいるほうが身体の調子もいいような……コーヒーは僕にとって、水と同様に〝なくてはならないもの〟です。

 遠征のとき、メジャーの選手が泊まるホテルの部屋には必ずコーヒーメーカーがあります。ただ、アメリカはミネラルウォーターの種類が多く、水が美味しくないとせっかくのコーヒーの味が台無しになってしまう。だからそこだけはこだわって、自分の好みに合う水を買うようにしていました。

 そんな僕とコーヒーの関係がさらに新たな段階に入ったのが3年前。現役を引退する直前でした。2010年に日本のプロ野球に戻ったのですが、翌年に肩を痛めてしまい、12年は現役続行を目指しながらリハビリに打ち込む日々。でもたった一人の練習ですから3時間もあれば充分で、それ以外は時間をもてあますようになったんです。それで、とりあえずサイフォンでコーヒーをいれてみるか、ということに。するとそれを機に、豆も自分で挽きたくなってコーヒー・ミルを買ったり、ろ過布の扱い方をネットで調べたりと、美味しいコーヒーのいれ方を徹底的に研究するようになって……機械まかせにしていたときと比べると、今はいれるところからゆっくりとコーヒーに向き合うようになりましたね。

プロの選手の偉大さを忘れないために……。

打ち合わせの傍らにもコーヒー。「1日でかなりの量を飲むので、家では薄めに作るようにしています」と田口さん。

 引退後は野球解説の仕事や講演などをさせていただきました。移動してホテルに滞在するときにはコーヒー・ドリッパーとペーパーフィルターを持参。豆の蒸らし方などを自分なりに追究しています。自宅で最近のヒットは有田焼のコーヒーフィルター。味がとてもまろやかになるんですよ。

 野球を辞めて、改めて気付くことがたくさんあります。現役でやっているときは、できないことをできるようにするために苦労の繰り返しです。それが、引退して外から野球を見るだけの立場になると、不思議なことにだんだん何でもできるような錯覚に陥っていくのです。ミスをした選手を見て、何であれができないんだ、なんて思うようになったり……そんな自分が怖くなって、このままではまずいと思い、ランニングを始めました。フルマラソンにもニ度挑戦し、完走することができました。今も週に3~4回、10~20キロ走るのですが、それだけでも身体がしんどくなってくるときがあります。そんなとき、ああ、プロ野球選手って、こういうことを毎日やっているんだ、プロの選手ってすごいなあと実感できるのです。だからそのためにもランニングは続けていきたいですね。

 来シーズンからはオリックス・バファローズの2軍監督を務めることになりました。また新たな挑戦の日々が始まります。これからも野球界の発展のために力を尽くしていきたいと思っています。

文・牧野容子 / 写真・大河内禎
更新日:2016/01/05

Profile

田口 壮(たぐち・そう)
1969年、兵庫県生まれ。92年、関西学院大学からドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブ入団。2002年、FAでメジャーリーグに移籍し、セントルイス・カージナルス、フィラデルフィア・フィリーズ、シカゴ・カブスで活躍。カージナルス時代の06年とフィリーズ時代の08年に世界一を獲得。10年オリックス・バファローズへ移籍、12年引退後は野球解説者として活躍。

協力/カフェ・ブリュ(TEL.03-5428-3472)

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