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コーヒーと私

宮本亜門【演出家】

仕事と私とコーヒーと。 Vol.4
宮本亜門【演出家】

ミュージカル、オペラ、歌舞伎など、ジャンルを超えて活躍し、感動の舞台を生み出す演出家、宮本亜門さん。彼の人生には、いつも傍らにコーヒーが……。

「コーヒーがないと朝が始まらない」
と話す、演出家の宮本亜門さん。観客を魅了し続ける彼の創作の原動力はコーヒーにあり、といっても言い過ぎではない。その原点は、父親が毎日いれるコーヒーだった。

「実家が喫茶店をしていたので、生まれたときからコーヒーの香りに包まれて育ちました。物心ついた頃には店のカウンターの中で、父がコーヒーをいれる様子をじっと見ていたものです。今も動作の一つひとつをはっきりと覚えています。ホーローのポットをゆっくりと回しながら布のフィルターに熱いお湯を注ぎ、一回りしたら〝今度は反対に回すんだよ〟といってまた回す。そのうちにフィルターのコーヒーからふわーっといい香りが沸き立って広がる。そこにいる心地よさはまるで温泉にゆっくりと浸かっているような感じで、ほっとするいい時間でした。コーヒーというと僕が最初にイメージするのはあのときの空間なんです」

 20歳でダンサーとしてデビューした後、演出家になる夢を追ってニューヨークのブロードウェイへと旅立った。
「現地で最初にコーヒーを飲んで、驚きました。まさかこんなに薄いものがコーヒーなのか、これがアメリカなのかと……思えば、あれが最初のカルチャーショックでした」

 それから30余年。東洋人として初めてオン・ブロードウェイのミュージカル演出を手がけ、世界を舞台に活躍する演出家となった今も、家にいるときは自分でコーヒーをいれる。
「基本はペーパーフィルターですが、忙しいと、ついついコーヒーメーカーのボタンをぽん、と押すだけになってしまう。うちの親父のようにゆっくりコーヒーと対話しながらいれる時間をあまり持てなくなっていることは、ちょっと淋しい気もしますね」

最高の舞台づくりは、コーヒーブレイクから。 

Illustration by takayuki ryujin

 最近は舞台の稽古場にもコーヒーメーカーが常備されている。スタッフが気を遣って自分の席にコーヒーを持ってきてくれようとするのを、亜門さんはいつも断っているのだとか。

「飲みたいときは自分で取りに行く。僕にとってそれはひと息つける時間であり、コーヒーメーカーの周りに集まっている役者さんたちに〝どう? 大丈夫?〟と声をかけながら、あれこれと何気ない話をするのが好きなんです。そこには演出家席に座って台本を睨んでいるときとは違う表情の僕がいて、お互いがほっと楽になれる」

 新たな公演を手がけるたびに毎回、初顔合わせの役者やスタッフと仕事をする亜門さん。一期一会だからこそ一人ひとりと丁寧に意思疎通を図り、彼らが最大限の能力を発揮できるようにといつも心を砕く。一致団結し、それぞれのパフォーマンスを上げて感動の舞台を創り上げていくために、コーヒーブレイクも大切な時間となるのだ。

 オフの日。亜門さんは愛犬とともにドッグカフェでのんびり過ごす。
「うちの犬が僕の膝の上にきてうずくまる。そのうちにコーヒーが運ばれてきて、ほんわり湯気が立っている。犬がいてコーヒーがあって、あったかいいい時間。コーヒーがない人生は考えられないけれど、今は犬がいない人生も考えられません(笑)」

文・牧野容子 / 写真・大河内禎
更新日:2015/08/24

Profile

宮本亜門(みやもと・あもん)
1958年東京都生まれ。2004年、ニューヨークのオン・ブロードウェイ史上初の東洋人演出家として『太平洋序曲』を手がけ、トニー賞の4部門にノミネートを果たす。オーストリアで13年に世界初演し絶賛されたモーツァルト『魔笛』を、15年7月に東京文化会館で凱旋公演。同月、和太鼓グループDRUM TAOと『百花繚乱 日本ドラム絵巻』(天王洲 銀河劇場ほか)を上演。同年10月には京都の上賀茂神社(世界遺産)・式年遷宮で初の「奉納劇」を上演予定。

協力/グランドファーザーズ(TEL.03-3407-9505)

宮本亜門【演出家】


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