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コーヒービジネス最前線

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世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
ミラノには、かつてコーヒーの焙煎所が100以上もあったと言われていますが、いまでは数えるほどになっています。残る数少ない焙煎所が経営するカフェを訪ねました。

炭火で焙煎を守り続ける老舗焙煎所。

Vol.67 イタリア:トレファツィオーネ・フダイダ(Torrefazione Hodeidah)
www.hodeidah.it

イタリア:トレファツィオーネ・フダイダ

ミラノのスフォルツェスコ城の北西にある「トレファツィオーネ・フダイダ」は昔ながらのクラシカルなインテリアが心地よいカフェ。ミラノ市内のコーヒー豆の焙煎所は第二次世界大戦以降、数は減り続け、いまや10数軒を残すのみとなった。貴重な自家焙煎所兼バールのひとつで、炭火で焙煎しているのはこの店1軒のみだという。

1946年創業のこの焙煎所を、現在のオーナーであるフルビオ・ロッシ・ルイジさんの父親が買い取ったのは今から43年前のこと。子どもの頃から父がコーヒー豆を焙煎する姿をみて育ったフルビオさんは、10歳のときにはすでに一人前にテイスティングしていたという。今では、イタリア随一のコーヒー豆の輸入港として知られるトリエステで、世界中から集まる豆の中から8種を厳選して買いつけ自らブレンド。手間をかけて炭火で自家焙煎し、こだわりの味を追究している。プエルトリコ、ハワイ、ジャマイカ、ブルーマウンテンなどに加え世界一高価と言われるインドネシアのコピ・ルワクを加えた8種を様々にブレンドしたコーヒーはこの店でしか味わえないオリジナルな味。豆のよさを活かすために焙煎は軽めにしているため、豆の味がダイレクトに伝わってくる。まろやかな喉通りでクリーミー、奥深い飲み心地で柔らかい香りが印象に残る。

イタリア:トレファツィオーネ・フダイダ

[左] エスプレッソ 1ユーロ。[右]チョコレートやジャム、クッキーなどのオリジナル製品も。コーヒーを楽しむための商品開発にも熱心だ。

 自家焙煎所が廃れてきた理由はいくつか挙げられるが、約20年前に導入された食の安全基準であるHACCPも大きな理由のひとつだという。基準に応じた営業許可のほか、様々な法律に関する講習も定期的に受けねばならず、なかでも衛生管理に関する厳しい規制は小さな工房で作業することが多い小規模焙煎所への向かい風となった。煩雑な法律をクリアしつつ店内で焙煎し続けるのは困難も多いという。
「父の時代には週に5日焙煎していましたが、このHACCPの導入で週2日に減らしました。いまでは一回につき3日間で消費するコーヒーを焙煎するように心がけています。求められる衛生基準とコーヒーの味や品質を考えると、現状ではいちばん効率的な方法なので」とフルビオさん。
 規制に加え、ミラノの気候が年々多湿になってきていることも大きく影響している。夏には湿度と闘いながら暑い中焙煎せねばならない。冬は冬で寒く、そしてやはり湿度は高い。そのため、近年になって除湿機とエアコンを導入したという。そうしないと「コーヒー豆をいい状態で運び入れることもできない」のだそうだ。冷蔵庫の中は3℃に保ち、床にはコーヒー袋を直接置かない、など店内での焙煎を続けるためにもいくつかのルールを徹底。法律をクリアするための環境作りと品質管理に努力をしている。

イタリア:トレファツィオーネ・フダイダ

[左] コーヒー豆は幸いにも虫はつきづらいが、とにかく湿度に弱い。[右]レストランやバールのオーナーも仕入れにやってくる自家焙煎の豆。

「いつまで続けられるかわからないが、できるだけコーヒー焙煎の文化や伝統を保っていきたい」と、頑なに伝統的な昔ながらの手間ひまのかかる炭火焙煎方法を続ける。その美味しさはレストランやバールのオーナーも日々仕入れにやってくるほど。「コーヒーの歴史や作り方、飲み方、いま人気の豆や味などを研究していると世界が見えてくる」と新しいコーヒーの研究にも余念がないフルビオさんの情熱は、ミラノのコーヒー好きを魅了し続けている。

〈カフェ情報〉
トレファツィオーネ・フダイダ(Torrefazione Hodeidah)
www.hodeidah.it
Via Piero della Francesca, 8 – Milano
Tel +39 02.342472
営業時間 7:00〜19:30
休:日

*1ユーロ=約130円(2018年2月現在)
写真=フランキー・ヴォーン
取材=坂本きよえ(ミラノ市在住)
更新日:2018/2/1



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