ホーム > コーヒービジネス最前線 > Vol.57 ブラジル:トニー・チェン(Tony Chen)

コーヒービジネス最前線

topimg_biz

世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
ブラジルでもカフェでグルメなコーヒーが浸透するなか、より美味しいコーヒーを自宅でも楽しもうと、良質の豆とコーヒーグッズを求める人が増えています。Vol.57では、サンパウロでコーヒーの味に目覚めた外国人建築家が制作したドリッパー「コアドールZ」を紹介します。

人と人を結ぶドリッパー「コアドールZ」

Vol.57 ブラジル:トニー・チェン(Tony Chen)
@chenchiachin

ブラジル:トニー・チェン

トニー・チェンさんは、台湾出身サンパウロ在住の建築家。コーヒー愛が高じて、バリスタの仕事にも就き、ドリッパー制作へ。自らの制作に賛同するアーティストの発掘や、コーヒー業界関係者との人脈づくりにも勤しむ。

 サンパウロで昨年7月にリリースされたセラミックドリッパー「コアドールZ」は、その無駄のないフォルムとともに、美味しいコーヒーが入れられると評判だ。台湾出身サンパウロ在住の建築家トニー・チェンのつくったそのドリッパーは、ブラジルのコーヒー専門家たちのアイディアと信頼を十分に得て作られた一品だ。
 チェンさんのコーヒーへの愛情と創作は、サンパウロで上質のブラジルコーヒーを口にしたことで覚醒した。かつて廉価なコーヒーしか知らなかったチェンさんは、自分とは相性の悪いものとコーヒーを疎んでいたが、サンパウロの人気コーヒー専門店で上質なコーヒーの味を知るや、コーヒーの世界に魅せられて、そこで定期開催されているバリスタ講座(Vol. 34参照)に通った。コーヒーへの愛情は募るばかりで、2015年には建築の仕事のかたわら、新規開店したカフェでバリスタとして勤め、同年にセラミックのドリッパーを制作する着想を得たのだった。

ブラジル:トニー・チェン

[左] 3Dプリンターで仕上げたモデル(中央)とそれを基に作った石膏型。専門家の指導を受けてチェンさん自らが作った。[中] 鉄(上)、コールテン銅(左下)、酸化銅(右下)でコーティングしたオリジナルのコアドールZ3点。[右] 通気性を確保するために円錐内の溝の凸部を高くした。合板のスタンドは、友人のデザイナー、エリック・エンセルさんの作品でセットで販売もしている。

 自宅付近の陶芸教室での試行錯誤を経て、陶芸の経験が浅くとも、図面を描ける自分には3Dプリンターでの制作しかないと思い至る。レンタルラボに通うさなかに、親類のつてによって高額な3Dプリンターを入手できたのは、運命が味方したからかもしれない。
 創作にはサンパウロとリオデジャネイロでコーヒー専門店として名のあるカフェのオーナーたちからアドバイスをもらった。円錐形紙フィルターの使用を前提としたドリッパーの抽出口は径約1.5センチの一つ穴。通気性確保のために円錐内壁には高さ約2ミリほどの24本の放射状の凸部が設けられている。制作費確保にはクラウドファンディングを活用した。結果は6万レアルと設定した予算を上回る資金を調達して商品化の夢が叶ったのだった。現在は主にサンパウロ市内の複数のコーヒー専門店で販売されている。

ブラジル:トニー・チェン

[左] クリスさん(左)と、コラボ制作のドリッパーを手にして語らうチェンさん。[右] コーヒー専門店「コーヒー・ラブ」で展示販売中。代表でバリスタのイザベラ・ハポゼイラスさん(左)と。

 地域社会との協働に高い感心を示すチェンさん、今年からは様々なアーティストとコラボで限定版コアドールZを発表していく。その第一弾として今年5月末には陶芸作家クリスさんとのコラボ商品をリリースした。形状そのままに異なった色彩と仕上がりにより、見栄えのより華やかな商品となった。
その形状からZと名付けられたドリッパーだが、トニーさんの創作はZから始まり、ますます展開していきそうだ。

〈カフェ情報〉
コーヒー・ラブ(Coffee Lab)
www.coffeelab.com.br/
Rua Fradique Coutinho, 1340 Vila Madalena, S?o Paulo
Tel. 55(11) 3375-7400
営業時間 10:00〜20:00
定休 無し
祝祭日の営業はfacebookページで要確認

*1ブラジルレアル=約33円(2017年6月現在)
文・写真=仁尾帯刀(サンパウロ市在住)
更新日:2017/7/1



  • ラブドリ
  • 10月1日はコーヒーの日
  • 日本インスタントコーヒー協会
  • 全日本コーヒー商工組合連合会