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コーヒービジネス最前線

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世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。
ニューヨークでは近頃、ハイエンドなコーヒーが話題となっています。もちろん、高価なのにはそれぞれ理由があります。まずは特殊な器具を用いた高価なコーヒーで一躍有名となったカフェをご紹介します。

全米で一番高価? 1杯18ドルのコーヒー。

Vol.55 アメリカ:エクストラクション・ラボ(Extraction Lab)
industrycity.com/new-extraction-lab

エクストラクション・ラボ

カウンターには、抽出器具とコーヒーのいれ方を表示するモニターが並び、整然とした雰囲気のカフェ。棚には、コーヒーの木がディスプレイされている。コーヒーの種類により、ベストな味を引き出すためにコーヒーと水の割合、水の温度、抽出時間などを調整できるという。

 2017年の2月にオープンしたばかりのカフェ、「エクストラクション・ラボ」。ブルックリンのサンセットパーク地区の、オフィスとリテールスペースが一緒になった新しい複合商業施設「インダストリー・シティ」内にあることから、注目を集めているが、さらに話題になった理由がある。一杯18ドルの、全米一高価だと言われるコーヒーを販売していることだ。早速同店を訪れてみると、それまでのブルックリンで主流であった、ヴィンテージの家具を使ったクラシックなインテリアとは違い、白が基調のシンプルな内装だ。
 この店の特徴は、サイフォンと原理が似た特別な抽出器具を用いること。蒸気で温めたお湯がフィルターとコーヒー豆が置かれた上部に上がり、コーヒーとお湯が混ざり抽出される仕組みだ。オーナーのトーマス・ペレスさんは「通常のコーヒーマシンでは出せない、上質な味わいを提供しています」と、話す。


エクストラクション・ラボ

[上] これが噂のハイエンドな18ドルのコーヒー! まろやかな味わいだ。[下・左] カフェのオーナー、トーマス・ペレスさんは、デンマークのコペンハーゲン出身。[下・右] 器具のモニターには、各コーヒーに適したいれ方が表示され、それに沿ってバリスタがサーブ。

 1杯18ドルのコーヒーは、エチオピアのシャキッソ産。少量生産で、一度に81キロ分しか購入できず入手困難なため、どうしても値段が高くなってしまうそう。そんな超高級コーヒーに挑戦すると、最初の一口は、キャラメルのような甘いフレーバー。やがて飲むごとに、チョコレートやグレープなどの風味も感じられる、今まで味わったことがないほど複雑な味わいだ。
 「18ドルのコーヒーを意図的に大々的に売り出したつもりはなかったのですが、話題になり、多くの人が訪れたので、結果としていい宣伝になりました。高過ぎる!と言われることはなく、噂の18ドルのコーヒーを飲みにきました、と言われることが多いです」と、ペレスさんは笑う。
 コーヒーの値段は、3ドルから18ドルで、一日に約10種類のコーヒーを販売する。その日によって、コーヒーのメニューは変わるそうだ。またラテやカプチーノは展開せず、シンプルにコーヒーだけを置いている。「たくさんの人々は、そのことに驚きますが、一口にコーヒーといっても、甘いもの、苦いもの、滑らかなものなど、たくさんのフレーバーがあります。多くの人が、コーヒーに様々な風味があることにも驚いています。ここを、コーヒーのためのワインバーのような場所にしていけたら」と、ペレスさんは目を輝かせる。
 進化したコーヒーのいれ方と、消費者を惹き付ける値段設定。多くのコーヒーファンを魅了するのも納得だ。


[上] 近くに警察署があることから、お巡りさんもよく訪れる。主な客層は観光客と地元の人。[下] アーモンドが中に入ったデニッシュなど、デンマークのペイストリーを置いている。

〈カフェ情報〉
エクストラクション・ラボ(Extraction Lab)
industrycity.com/new-extraction-lab
51 35th St. Brooklyn, NY 11232
Tel. 929-376-0034
営業時間 8:00〜17:00 (月〜金)
     休:土日

*1ドル=約110円(2017年6月現在)
写真=加藤里紗
文=長谷川安曇
ニューヨーク市在住
更新日:2017/6/1



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