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コーヒービジネス最前線

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世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。新型コロナウイルス感染症が流行するなか、ブラジルでは、南部の街クリチバで生まれた非接触、小スペースで営業するトゥーゴー(テイクアウト)スタイルのフランチャイズが席巻中。今回は、日本をブランドイメージにして急成長中の「ザ・コーヒー」を紹介します。

日本を愛する兄弟のカフェチェーンは、簡潔・端正・完璧な日本のイメージを掲げ急成長。

Vol.126 ブラジル・サンパウロから。

The Coffee ピニェイロス店

2019年6月、サンパウロ1号店としてオープンしたピニェイロス店。白黒のニュートラルな外観がかえって目を引く。ファサード上部の照明の側面には、カタカナで店名を表記している。全店舗で使用するパラナ州北部ノルチ・ピオネイロ産コーヒー豆の評価も高い。

 情報過多の現代社会において、余白を生かしたミニマルデザインに、かえって発信力のあることは、日本の建築やデザインが世界で評価されてきたことにも伺える。
2018年3月にクリチバで創業した極小のコーヒースタンド「ザ・コーヒー」は、その翌年からサンパウロにも上陸し、ミニマルな店構えとハイテクなサービスを売りに、パンデミック中にも勢いよく店舗数を増やしてきた。
「パンデミック以前の昨年3月までに24店舗、それ以降新たに29店舗が各地でオープンしました」と経営者3兄弟の末弟アレシャンドレ・フォルトナニさん。創業1年で、国内ベンチャーキャピタルから50万レアルの融資を受け、昨年にはパンデミック中にもかかわらず2660万レアルの追加融資を得たことが、ザ・コーヒーの飛躍的な成長を可能にしたと語ってくれた。

The Coffee ピニェイロス店

[上左]フラット・ホワイト(左、7.9レアル)とアイスド・バニラ(右、10.3レアル)。[上右]サンパウロの各支店を見回りに訪れた経営者のアレシャンドレ・フォルトナニさん[下]使い勝手のよいアプリからの注文には金額の10%がキャシュバックされる。

「近年、クリチバから全国的に展開する複数のコーヒースタンドフランチャイズがありますが、いち早く創業したのは私たちです」とフォルトナニさん。クリチバ発の同業者が目立つのはザ・コーヒーの成功を目にして、参考にしたからだろうと先駆者として自負する。
兄弟で漠然と抱いていたカフェ経営の夢が具体的になったのは日本行きがきっかけだったそうだ。
 「私たち兄弟は、日本が大好きで、日本を実際に訪れました。美味しいコーヒーを淹れるには、簡潔かつ端正であり、完璧を求める姿勢が必要です。そこには折り目正しい日本文化と共通する点があると思い、日本をブランドイメージにしたのです」
 親日度が高いブラジルにおいて、そのブランドイメージは、フランチャイズ加盟店拡大に益するところが大きく、加盟店経営希望者が自ずと集まっているという。

The Coffee ピニェイロス店

[上]白、黒、薄茶の店舗カラーとコーディネートされた端末。衛生面からもキャッシュレスは利点が大きい。[下]東京の映像を流す店内のモニター。東京の洗練をブランドイメージに取り入れている。

 テクノロジーの進歩もまたフォルトナニ兄弟が抱く日本像に含まれる。非接触型サービスを進めるザ・コーヒーは、スマートフォンの自社のアプリケーションを開発した。客は店舗の管轄エリア内からであれば、デリバリーの注文と支払いも可能だ。
 取材時には、店舗への到着より一足早くアプリケーションでドリンクを注文した常連客が、事前に用意されたドリンクを素早く受け取って立ち去る姿もあった。
 「アプリケーションは2019年3月に発表しました。現在では約2割のお客様にご利用頂いており、アプリの利用客は増えています」とフォルトナニさん、支払いをすべてキャッシュレス化したいのが本音だが、法律上、現金の支払いにも応じる必要があるそうだ。
 目下、国内100店舗を2021年内に達成することを目標に掲げ、同年上半期にはマドリードとリスボンでの開店も予定している。カタカナ表記で「ザ・コーヒー」を店舗ロゴに掲げたコーヒースタンド、日本発と思いきやブラジル発であることに世界が驚く日が近いかも。

〈カフェ情報〉
The Coffee ピニェイロス店
www.thecoffee.jp
Rua dos Pinheiros, 466 Pinheiros
営業時間 月~金)08:00~19:00、土、日)10:00~19:00

*1レアル=約19.8円(2021年4月現在)
写真・文=仁尾帯刀
更新日:2021/5/15



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