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コーヒービジネス最前線

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世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。SDGsをテーマとしたコーヒービジネスを追うシリーズ、今月はコーヒー生産者に寄り添うオーナーたちをオランダに取材しました。今回は50歳で起業、企業のCSR出身のコーヒービジネスを紹介します。

生産者とのフェアなビジネスも、障害者の就労支援も行う。

Vol.122 オランダ・ロッテルダムから。

SOCOCOのモットーは、「フェア、サスティナブル、リスペクト、サーキュラー」。慈善事業ではなく、携わる全ての人々と正直かつ対等にビジネスすることが真のフェアトレードに繋がると言う。生産者だけではなく、オランダ国内でもコーヒーを通して就労支援を行っている。

 以前の勤務先では、企業の社会的責任を実践するCSR(コーポレット・ソーシャル・リスポンシビリティ)プロジェクトに取り組んでいたと言うペリー・ファン・ギルスさんが、ロッテルダムにコーヒー焙煎所「ソココ」を立ち上げたのは2年前のこと。「CSRと言っても、企業である以上やはり利益最優先で、プロジェクトには大きな矛盾があった。以前から縁と関心があったコーヒービジネスを通して、納得のいく社会貢献をしていきたいと考えた」と、当時50歳だったペリーさんは一大決心で脱サラした。

[左]2年前、50歳の時に長年勤めた会社を辞め、SOCOCOを立ち上げたペリー・ファン・ギルスさん。[右上]パートナーである障害者アトリエの子供達の絵をプリントした、SOCOCOオリジナルカップ。[右下]ドリップポッドの容器は、ベルギー製の生分解性素材のものを使用。10個入りで3.60ユーロ。

 ソココの自慢の豆は、グアテマラやブラジルで試行錯誤を繰り返しながら高品質のコーヒーを栽培する生産者から直接買い付けている。中間搾取を排除し、輸送も自ら手配するなどサプライチェーンを徹底的にスリム化。「おかげで、“フェアトレード”が定める倍の価格を生産者に支払えている」と言うペリーさんにとって、よりフェアでサスティナブルなトレードの実現は大きな目標の一つでもある。
 一方、焙煎後の豆の袋詰めや、発送のための梱包は、オランダ国内の障害者就労支援施設に発注している。そして、ソココが運営するカフェでは、薬物中毒や引きこもりなどの理由で労働市場から離れていた人々の就労支援として、バリスタやサービス業のトレーニングプログラムを提供。「ラテアートの作り方やサービス業をゆっくりと習得していくことを通して、失った自己肯定感を取り戻してもらうことがトレーニングの最大の目的。コーヒーは、そんなプロセスを支えるのに最適なプロダクトだと思う」。

[上]「ビジネスはコンパクトな方がいい」というペリーさんの事務所。運営は一人で行っている。[下左]独立後すぐに取引を始めたグアテマラのコーヒー農家のオーナー、ペレツさん親子とペリーさん夫婦。(写真提供:SOCOCO)[下右]元機械工場だった建物の一室がSOCOCOの事務所。焙煎所、カフェは市内の別の場所にある。

 顧客の大半が中小企業で、社内に設置するマシーンや備品と併せてコーヒーを販売しているというソココにとって、コロナ禍における出勤の自粛は大きな打撃となった。だが、「個人のオンライン注文が増加しているので、愚痴る理由はない(笑)」と楽観的。「コロナ後も、リモートワークは定着していくだろう。そうなれば、オフィスは社員が集うサロンの役割も担うようになる。そのような場所に相応しいのは、多少値段が高くても、美味しくてサスティナブルなコーヒー。新しい可能性を感じるよ」。ペリーさんはすでに、コロナ後のビジネス展開にも思いを馳せているようだ。

〈カフェ情報〉
ソココ(SOCOCO)
www.sococo.coffee
*営業はオンラインのみ

*1ユーロ=約125円(2021年1月現在)
写真・文=ユイキヨミ
アムステルダム市在住
更新日:2021/2/15



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