ホーム > コーヒービジネス最前線 > コーヒーのミルクは地元産ナッツを手絞りで。ドイツ初「廃棄物ゼロ」レストランの試み ベルリンから

コーヒービジネス最前線

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世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。SDGsをテーマとしたコーヒービジネスを追うシリーズ、今月は「ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)」「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」に取り組むお店を、ベルリンからご紹介します。まずは、「ゼロ・ウェイスト」を考えてヴィーガンにたどり着いたという「FREA」の試みです。

コーヒーのミルクは地元産ナッツを手絞りで。ドイツ初の「廃棄物ゼロ」レストランの試み。

Vol.119 ドイツ・ベルリンから。

ヘーゼルナッツミルクの材料。ヘーゼルナッツ、少量の砂糖、塩、キサンタンガム。水を入れてミキサーにかける。キサンタンガムは植物性のゼラチンのようなもので、とろみをつける効果がある。

 FREAの壁にかかっている一枚の“絵“。実は、これは昨年店をオープンした時に出たプラごみをプレスして作ったもの。
FREAは、ドイツ初の、ゼロ・ウェイストのヴィーガンレストランだ。
「ゴミを出さないこと、そして環境のことを考えたらヴィーガンというアイデアに行き着いた」と、オーナーのダヴィット・ズヒーさんは言う。
 「ゼロ・ウェイストという看板をかかげるかどうかに関わらず、飲食店のオーナー、いいえ、ものを作る人ならば誰もが、ゴミの問題を考える責任があるのではないでしょうか。だって、作りすぎればゴミが世界中に溢れてしまうんですから」

[左]「牛乳を絞ってるみたいだね!」とダヴィットさん。週に2〜3回オーナー自ら絞る。[中]オーナーのダヴィットさん(右)とミシュラン1つ星を持つベジレストランから引き抜かれたシェフのフランコ・ヤヒールさん。[右]ヘーゼルナッツミルクコーヒー 4,5ユーロ。決して安くはないが、デザート並みの満足度が。

 肉や魚は仕入れの段階でプラスチック包装なしで運搬することが難しく、また料理をしこむ段階で余りが出てもリサイクルしづらく、発酵食品を作るにしても管理は簡単ではない。植物性の食材ならばアレンジもしやすく、最終的には高品質のコンポストにして、仕入れ先の農家に使ってもらうこともできる。
 この店で出しているコーヒーメニューも、そんなアイデアから生まれたものだ。
 オーナー手ずから、毎週数回絞っているコーヒー用のミルク。素材は、ベルリン近郊でも豊富に取れるヘーゼルナッツだ。ナッツの香ばしい甘さとリッチな舌触りのミルクが、強い苦味を持つエスプレッソを引き立てる。
 「アーモンドは地元で採れないものなので、運搬の際のゴミや二酸化炭素排出が増える。カシューナッツはさらに、その収穫や加工が低賃金・不当な労働に頼る業者が少なからず存在するという問題もあります。ヘーゼルナッツならば、味も美味しく加工も簡単、地産地消で、最適な食材だと思って選びました」と、まるで牛乳を絞るように、ガーゼに入ったヘーゼルナッツミルクの袋を絞りながら、熱く語るダヴィットさん。
 ナッツの絞りかすを使って、デザートなども色々試してみたが、量がそれほどないことや、旨味はミルクに搾られてしまっていることから、最終的にはコンポストにしている。

[上]内装もゼロウェイスト 。プラごみをプレスした絵のほか、家具は全てセカンドハンドで。知人などから譲り受けたものも。[下左]コーヒーによく合うデザート。アクアファバをムースに、ひまわりの種をクラストに使うなど食感でパンチを与えるのがポイントだそう。[下右]料理に使った余りの野菜や果物を使った発酵食品やドリンクも数多く仕込む。セロリやルバーブのシロップは夏に人気だ。

 少量でも満足感のあるコーヒーに合わせて考えられたデザートは、チョコレートムース。ふんわりと、しかし舌の上でスッとなくなる食感は、料理に使ったひよこ豆の煮汁(アクアファバ)を使って実現するものだ。
 FREAでは、まだ完全なゼロ・ウェイストは実現していない。食器を洗う洗剤はプラスチック容器に入っているし、お気に入りのオリーブオイルはプラバケツで届く。考えすぎて本当に正しい答えが分からなくなるということもあると、ダヴィットさんは言う。
 「しかし、ドイツ人は年間1200万トン近い食品廃棄物を出している。その責任について、考え続けていきたい」

〈カフェ情報〉
Frea
www.frea.de

*1ユーロ=約126円(2020年12月現在)
文=河内秀子
写真:Gianni Plescia (ベルリン市在住)
更新日:2021/1/1



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