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コーヒービジネス最前線

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世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。SDGsをテーマとしたコーヒービジネスを追うシリーズ、今月は世界的にもコーヒー消費量の多さを誇る北欧、デンマークのコペンハーゲンから。2007年にコーヒー好きの仲間4人で設立した、サードウェイブ・コーヒーのパイオニア「コーヒーコレクティブ」の試みをご紹介します。

デンマークのコーヒー業界を牽引する、パイオニア的ブランドの取り組み。

Vol.118 デンマーク・コペンハーゲンから。

ノアポート駅周辺はリニューアル後、一般車の乗り入れが禁止されたため、テイクアウェイだけでなく、カウンターやテーブル席でもコーヒーを楽しめる。最新のエスプレッソマシンとモダンな照明、ロゴと外観は1895年の建物のような色合いを再現し、新旧が引き立て合う効果を狙った。近所にはコペンハーゲン大学の建物や図書館などもあり、歴史的な建物が多い。

 コペンハーゲン中心部にある、ノアポート駅。デンマーク国鉄とメトロが乗り入れ、乗降客数は国内一、駅周辺はカフェ激戦区だ。3月以来の新型コロナウイルスのロックダウンが解除され、人々の生活が平常に戻ってきた今夏、コーヒーバー「テレフォンキオスクン」がオープンした。
 「駅前広場にぽつんと残されていた、1895年に建てられた電話ボックスを改装しました。時計がついた六角形の屋根、星座のモチーフが刻まれた外壁など、ネオロマンチズムの魅力溢れる小さな建物の窓から、近代的なALM Linea PBのエスプレッソマシン、Mythos Oneのグラインダーなどが垣間見られる。古い建物を生かし、新旧のバランスを保ちながら街を発展させるのも、サスティナブルといえるかもしれません」と話すのは、この店を運営する「コーヒーコレクティブ」の創立者のひとり、クラウス・トムセンさん。
 「コーヒーコレクティブ」は、2007年にコーヒーマニアの若者4人によってスタート。ミルクたっぷりのコーヒーが主流だったデンマークに、シングルオリジンのサードウェーブコーヒーの美味しさを広めたパイオニアで、南米やアフリカなどに赴き、生産者とコーヒー豆の生育から関わる「ダイレクト・トレード」というビジネスをはじめたのも彼らだった。現在では、焙煎所兼カフェの本店、4軒のコーヒ ーバー、そして、このテレフォンキオスクンでの展開となった。

[左]1900年代初頭のテレフォンキオスクン。当時は電話だけでなく、絵葉書、新聞も販売したコミュニケーション・ハブで、モダン都市のシンボルだった。 [右]窓枠の色は経年変化した銅の屋根に合わせた、深い赤。小さなスペースだが、フィルターコーヒーからホットココアまである。バリスタが持つのは缶入りのニトロコーヒー。

 さて、先駆者によるSDGsの活動が気になるが、「コーヒーコレクティブ」は 優良企業に与えられる認証B Corpを得ている。 B Corpの他のメンバーとともに「B Corp Climate Collective」を結成し、独自の目標を掲げている。( B Corp は「環境」「従業員」「顧客」「社会」「統括管理」などの観点から厳しく審査し、透明性や説明責任を満たしている企業がジャンルを問わず認証される。中小企業を中心にデンマークでも徐々に増えつつある)

六角形の屋根には12星座のレリーフが、2星座づつ描かれている。これは左が蠍座、右が天秤座。コーヒーを飲みながら、星座探しもできそうだ。

 また、2018年から英語版のサスティナブルレポートを発行しており、2022年までにカーボン・ニュートラルを目指しているという。 「例えば、取引先のブラジルの農場で実験的にコーヒーバイオでコーヒーの木を育てています。また、社内の異なる部署からの人材で『グリーングループ』を結成し、具体的に話を進めています。来年のレポートで、経過報告しますよ」と、CEOのピーター・N. デュポンさんは話す。
 「コーヒー業界においてのサスティナビリティとは、生産者に経済面での持続性をもたらすことが基本です。適性価格で長くビジネスを続けていくことは簡単ではないですが、利益最優先では得られない経験もできるので、それをシェアして広めたいのです」
 2021年のサスティナブルレポートでどんな報告があるのか、興味深い。

〈カフェ情報〉
Coffee Collective Telefonkiosken
coffeecollective.dk
2020年サスティナブルレポート

*1DKK(デンマーククローネ)=約17円(2020年9月現在)
文=冨田千恵子(コペンハーゲン市在住)
写真:Coffee Collective
更新日:2020/11/15



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