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コーヒービジネス最前線

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世界中で愛されるコーヒー。楽しみ方、味わい方は、お国柄によっても千差万別です。コーヒービジネスもまた、その都市ならではのチャレンジを重ね、さまざまな広がりを見せています。 SDGsをテーマとしたコーヒービジネスを追うシリーズ、今月はオランダ・アムステルダムからトレーサビリティを大切に、美味しいコーヒーを作る経営者たちをご紹介します。まずは、大規模なビジネス展開で現地との信頼関係を構築している、卸業者です。

生産者が誇りをもって栽培できるように。

Vol.105 オランダ:ボッカ(Bocca)・トラボッカ(Trabocca)
www.bocca.nl
www.trabocca.com

オランダ:ボッカ(Bocca)・トラボッカ(Trabocca)

ボッカとトラボッカを運営するメノー・シモンズさん(右)と、妻のタリタ・ツァイコウスキさん。100%トレーサブルの高品質のコーヒーを国内外に広く流通させるメノーさんのビジネスは、公正さとサステイナビリティが軸。2018年には、アムステルダム市が公共性のある革新的な実業家に与える「実業家アワード」も受賞した。

 カフェ、ショップ、そしてコーヒースクールを併設した「ボッカ」のオーナー、メノー・シモンズさんが、趣味で自家焙煎をはじめたのは2001年。翌年に「ボッカ」をオープンし、2003年には、ハイエンドの生豆の卸業社「トラボッカ」を設立した。現在は、アフリカやアメリカにも事業所を構え、スタッフ総数は70人以上。10カ国以上の原産国から買い入れた高品質の生豆を、世界各国に卸している。
 シモンズさんが、大規模なビジネス展開にこだわるのには理由がある。「私が目指すのは、真にサスティナブルで、公正公平かつ透明なコーヒービジネス。それを実現するには、大きな規模である必要がありました」

オランダ:ボッカ(Bocca)・トラボッカ(Trabocca)

[上左]エチオピア、イエルガチェフ地方のアダド協同組合が生産しているコーヒーは、ボッカのシグニチャー・コーヒー。2939の農家で構成される同組合とは、2005年以来の付き合いだ。[上右]イタリア人のバリスタ、ダニエルさん。ボッカには、多くの外国人バリスタが集まる。[下]エントランス横には、かつてメノーさんが使っていた焙煎機が置かれている。

 エチオピアのイエルガチェフェ地方の豆は、シモンズさんが力を入れている商品のひとつだ。「コーヒーのシャンパン地域」と異名をとるほどの最高品種の産地だが、その収穫量は、過去20年で3分の1に減少していた。それまでの不当な産業形態から、コーヒー栽培をやめる農家が相次いだのだ。シモンズさんはまず現地の人々に働きかけ、農家が株主である株式会社を設立した。環境に負荷を与えない肥料や栽培方法などの技術提供を行い、苗木当たりの収穫量を倍増させて持続可能な生産の基盤を確立。豆の選別器など設備投資をして品質も向上した。そして生産者に対して、継続的な買い取りを確約してビジネスを続けている。

オランダ:ボッカ(Bocca)・トラボッカ(Trabocca)

[左]店内に展示されている写真は、全てメノーさんが撮影したもの。豆の産地の風景や、働く人々の表情を美しく描き出した写真が、「ビーン・トゥー・カップ」の物語を伝える。[中]店内にはコーヒー・スクールも併設し、バリスタの養成にも力を入れている。[右]アムステルダム旧市街の閑静な住宅街に店を構えるボッカ。

 「キロ単価はそれまでの倍にしました。収穫量も倍増したため、農家の収入は以前の四倍になりました。搾取目当てで産地にビジネスを持ちかける実業家が多い中、私たちは、彼らとの約束を確実に実行していくことで、信頼関係を築いてきました。一番嬉しかったのは、生産者の口コミで次々と参加希望者が増えていったこと。誇りを持ってコーヒー栽培をする彼らと共に働くことこそ、私のビジネスの目的です」
 シモンズさんは現在、ケニアでも同様の産地活性プロジェクトを牽引している。

ボッカ(Bocca)

所在地:Kerkstraat 96H, 1017 GP Amsterdam
営業時間
8:00~18:00(月〜金)
9:00〜18:00(土、日)
定休なし
*1ユーロ=約119円(2020年2月現在)
文=ユイキヨミ
写真=ユイキヨミ
アムステルダム市在住
更新日:2020/3/1



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