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コーヒー海外事情

新旧それぞれの魅力が相照らす、プラハのカフェシーン。

左から:ザーヴィン(ドイツ語ではアプフェル・シュトゥルーデル、英語ではアップルパイ)はチェコでも定番のデザート。/キュビズムの異空間で食事とコーヒーが楽しめる〈グランド・カフェ・オリエント〉はツーリストで混み合っている。/夜のプラハ。カレル橋から月を見上げる。

 今回巻頭特集で紹介したプラハのカフェやコーヒーショップは現代コーヒー・カルチャーの最先端といっていいニューフェイスばかりだったが、「世界有数のカフェの街」と言われるプラハのこと、もちろん古くて由緒あるクラシック・カフェもたくさん残っていて、この街の魅力を支えている。

「街の美」の中に残る、カフェとコーヒー文化。

 国民劇場の向かいにある〈カフェ・スラヴィア〉は1881年創業。窓からはカレル橋やプラハ城といったチェコ観光のハイライトが望める。ここは、フランツ・カフカやリルケ、ドヴォルザークといった鬼才たちのたまり場だったところ。アインシュタイン博士が好んで通ったのは1924年誕生の〈カフェ・ルーヴル〉。アールデコで統一された空間で、科学の常識を覆すようなアイデアが生まれたのかもしれない。〈ルーヴル〉がアールデコならキュビズム建築「黒い聖母の家」の中にあるのが〈グランド・カフェ・オリエント〉。

設計はヨゼフ・ゴチャール。給仕に用いるトレイにまでキュビズムの意匠が表されている。ネオ・ルネサンス様式の内装を眺めながらコーヒーを楽しめるのが〈カフェ・サヴォイ〉。

 プラハは「ヨーロッパ建築の屋外ミュージアム」と呼ばれる。ロマネスクから現代のフランク・ゲーリー作品まで、各時代の様式を持つ建築が一堂に会し、そのうちのいくつかがカフェ、ひいてはコーヒー文化と結びついている。歴史を見れば、プラハが何度も蹂躙・破壊の危機に遭ったことがわかる。しかし、プラハ市民は武力に訴えることなく、その危難を克服してきた。それは戦うことでこの美しい街並みが壊されるのを避けるためだったとも言われる。プラハっ子が守りたかった「街の美」の中には、カフェとそこでコーヒーを中心に紡がれる文化も含まれていたのだ。

コーヒーの味わいが、5、6年前から劇的に向上。

 一部のガイドサイトやブログなどの個人発信情報に「プラハのコーヒーは昔ながらのトルコ風(細かく挽いた豆を熱湯に入れて上澄みを飲む)」とか「プラハのコーヒーは美味しいとは言えない」などと書かれているのは残念なことだ。取材班が体験した限り、トルコ風のコーヒーには一度も出会わなかったし、どこで飲んでもコーヒーの品質は世界標準ないしはそれ以上のレベルだった。

 プラハの美食情報を発信するサイト〈テイスト・オブ・プラハ〉を運営し、ガイドツアーを催行しているヤン・ヴェレンタ氏によると、「この街のコーヒーの品質が劇的に上がったのは5、6年前からのことです」とのこと。新旧の個性際立つカフェが互いに相照らすプラハは今、間違いなく「コーヒーを飲むために訪ねるべき世界で最も素晴らしい街」のひとつだ。さらに加えておくなら、東部モラヴィア地方にあるチェコ第2の都市ブルノにも独自のカフェ文化が醸成されつつある。これからチェコを訪ねる人には、ぜひ自分の嗅覚と味覚で、この国のコーヒーの実力を賞味してもらいたい。

Czech Republic
チェコ共和国

チェコ主要情報
■ 面積:78,866平方キロメートル(日本の約5分の1)
■ 人口:1,005万人(2016年3月、ダミー統計局)
■ 首都:プラハ
※外務省HPより(2017年2月現在)

取材・文 浮田泰幸/写真 吉田タイスケ
更新日:2017/04/20



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