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コーヒー海外事情

中南米の伝統を受け継ぐ、マイアミの熱いカフェ事情。

中南米の伝統を受け継ぐ、マイアミの熱いカフェ事情。

キューバ移民が多く住むマイアミでは、中南米のコーヒー文化が脈々と受け継がれている。
カフェには外からオーダーできる窓が設けられ、エスプレッソが主流。その一方で、ハンドドリップや新種のドリンクも登場し始めた。マイアミに新たなコーヒーの潮流が生まれようとしている。

All Day
オールデイ

左から:2014年度のアメリカのバリスタチャンピオン第5位に輝いた経歴を持つ、カミーラさん。/南米では一般的な「ベンタニータ」 。エスプレッソを立ち飲みする男性が多い。

 日の光が燦々と降り注ぐ窓や、開放感のある高い天井、存在感の光る流木。店内に足を踏み入れた瞬間に、かすかな高揚感を感じる。「オールデイ」は環境に配慮し、品質の高いコーヒーを提供する、広々としたカフェ。
 外からコーヒーをオーダーして、立ち飲みができる窓、「ベンタニータ」があり、これは南米系の移民が多く住む、マイアミのカフェらしい特徴だ。コンセプトは、コーヒーバー。「気軽にふらっと立ち寄って欲しい」という意向から、バーのように、カウンターでオーダーしてそこで飲むことも、テーブル席につくこともできるようなインテリアを設計した。
 コーヒー豆は、アメリカ全土の少量生産をしているロースターから調達。その中の一つ、ウィスコンシン州の「ルビー」には、甘いコーヒーを好むマイアミの南米系の人に向けて、甘く、チョコレートの風味が出るように頼んでいる。

左から:細部にフォーカスした経営で、マイアミの有名店に。/ウィスコンシン州のネルソンビルでローストしているコーヒー「ルビー」。/オリジナルのボトルを販売し、持参した人にはコーヒー代を10%オフに。

コーヒーカクテルは、マイアミの新たなトレンド。

クリーンでミニマルな店内には、殺風景にならないように、植物やコケも取り入れた。2016年にオープン後、マイアミの各紙で絶賛されている。

 共同オーナーのカミーラ・ラモスさんはキューバ出身。ダークローストの強いコーヒーを飲んで育った。
「マイアミの人口の40〜50%はキューバ系なので、エスプレッソなど濃いコーヒーを飲むのに慣れています。ほとんどのカフェがエスプレッソにこだわっていますが、マイアミにも新しい風を送りたい」と話す。
 人気なのは、「コーヒーカクテル」のシリーズ。お酒は入っていないが、コーヒーと何かを足したドリンクを打ち出す度に大ヒットするという。ライムジュースやラベンダーの茎のシロップなどを、コーヒーに入れて、カクテルのように味わうトレンドは、マイアミ全体で流行っていると話す。
「新しいコーヒーカクテルを考案しようと、クリエイティブになるのは楽しい」とカミーラさん。年間を通じて暑いマイアミの気候では、さっぱりとしたコーヒードリンクが人気になるのも納得だ。

左から:季節限定のコールドブリューとライムジュース、ローズマリーの葉を添えた「スイートハート」($7.50)。/クリーミーな泡が、ギネスビールのような味わいの「ニトロ」($7)。/人気店「ザ・ソルティー・ドーナツ」とコラボした、ドーナツ「パープルレイン」($5)。/ 目玉焼きが乗ったサンドイッチ「ラニー&エブリシング」($13)。



All Day
オールデイ

マイアミのコーヒーシーンのパイオニア的存在、「パンサーコーヒー」でマネージャーを務めたカミーラさんがオープンしたカフェ。キューバ系のコーヒーが浸透しているマイアミに新しい風を呼ぶ。
■ https://www.alldaymia.com

Café Demetrio
カフェ・デメトリオ

左から:マイアミ大学や多くのオフィスが立ち並ぶ、コーラル・ゲーブルス。洋館のような外観が美しい。仕事の合間に休憩を取りに来る人も多数。/週末は家族連れに人気のパテオ。夜は、バースデーパーティーにも頻繁に使われる。広々としたスペースに緑が溢れ、気持ちの良いスポットだ。

 1997年にビジネス地区のコーラル・ゲーブルスにオープンした、本格的なコーヒーハウス。歴史あるヨーロッパの館のような佇まいで、格式の高い存在感を放つ。2017年にキッチンが作られる前は、広々としたスペースながら、地道にコーヒーだけをサーブしていた。
 ビジネス街に位置するため、ミーティングやインタビューの場所にも使われ、市長や州知事などの政治家にも愛されている。最近はジョージ・W・ブッシュ前大統領も家族で訪れたそう。またこのエリアは、パーキングがほとんどないため、マイアミでは珍しく、歩いている人が多い。たまたま見かけて、ふらりとお店に入ってくる人も。常連客が多く、毎日来る人、1日に数回訪れる人もいるそうだ。
 マネージャーのカルロス・フス・モスさんはキューバ出身。「あくまでコーヒーがメインなので、凝った料理はありませんが、サンドイッチなどの軽食メニューは好評です」と話す。

左から:人気の「カフェ・デメトリオ」($5.95)と「デメトリオズ・フェイマス・サンドイッチ」($10.75)。/プチサイズの「コルタディート」($2.25)と「カフェ・レオ」($4.5)。


カカオパウダーをまぶした、コーヒーがシグニチャー。

「マイアミの人はとにかくコーヒーが大好き。ラテン系の人の間では、お砂糖をたっぷり入れる飲み方が一般的です」と、カルロスさん。甘党の人々に受けてもらえるように、甘いコーヒーを取り揃え、同店のシグニチャーはその名も「カフェ・デメトリオ」。ダブルショットのエスプレッソにフォームしたミルクがたっぷりとのったカプチーノで、砂糖もたっぷり入っている。ミルクの上には、型抜きで、ハート型にカカオパウダーをまぶして、見た目にも可愛らしい。
 ミュージックライブにも力を入れていて、ピアノやスパニッシュギターの演奏も行っている。ベネズエラ出身のオーナー、デメトリオ氏のマイアミの人々の文化的なコミュニティを作りたいという意向のもと、様々な取り組みが実施されている。

左から:イタリア製のアンティークのレジスター。/マネージャーのカルロスさんは、「客のほとんどが顔見知りで、毎日通ってくれるほどの常連で嬉しい」と話す。/昼下がりのメインダイニングホールの穏やかなひと時。カフェでは様々な催し物が開催され、詩の朗読会も開かれる。


Café Demetrio
カフェ・デメトリオ

18世紀のヨーロッパで、文化人が集い開花したカフェ文化がアイデア。誰でもチェスができるチェスルームや、美しいパテオも設置。アンティークの家具や装飾品で飾られ、クラシックな雰囲気が漂う。
■ https://www.cafedemetrio.com

Vice City Bean
ヴァイス・シティ・ビーン

左から:店頭には、ビジネスの出発点であった三輪車を記念に展示。お店はアート&エンターテインメント地区の、これからが楽しみなエリアに建つ。/オリジナルのグッズも販売。

 文化的にも経済的にも、フード業界が急速に発展しつつある今のマイアミを表現したようなお店。当初はオーナーのエバとローランド・ベイカーさん夫妻が、三輪車の荷台にコールドブリューを詰めて売っていた、小さなビジネス。それがわずか3年で、大型カフェが繁盛するほどに成長したのだ。このサクセスストーリーには、二人の起業家精神がうかがえる。
 路面店をオープンさせたきっかけは、住居用のロフトを探していた時に、たまたまテナントを募集しているこのビルを見つけ、「カフェにぴったりだ!」と思ったこと。当時、このエリアには何もなかったが、クリエイティブ系の会社がポツポツと点在し、これから発展するエナジーを感じたと言う。
「コーヒーショップがオープンすると、そのエリアが発展するといわれているので、不動産屋の人が喜んでいた」とローランドさんは笑う。

左から:タマリックジンジャーにエスプレッソを加えた、「タマリックラテ」($5)。/エスプレッソのショットと抹茶、アーモンドミルクの「ミリタリーマッチャ」($6.75)。/
フードメニューは季節によって随時変更。


マーケティングを考慮した、スタートアップの精神。

左から:2017年に同じエリアで開始したフリーマーケット、「マイアミフリー」の影響で、週末にはたくさんの人が訪れるように。ドッグフレンドリーなポリシーも好評だ。/鉄筋コンクリートを活かした近代的なデザインは、エバさんが考案。最近増えてきたスタートアップの会社に勤める人が集まる。

 コーヒーは、少数生産のものを3〜5種類展開。現在はミシガン州の「マッドキャップ・コーヒー」などをサーブしている。
「種類によっては、620グラムほどしか買えないものもありますが、希少価値が高いものを提供しているので、好評です」と、ローランドさん。またトニックウォーターとエスプレッソを混ぜた「エスプレッソ・トニック」は一押しのメニュー。爽やかな飲み口で、暑いマイアミの気候には、気持ちが良い。フードはすべて手作りで、エンパナーダや抹茶ドーナツが人気だ。
 キューバ文化が色濃く残るマイアミで、キューバ系ではない二人は、「他店との差別化のために何で勝負すべきか」と熟考した結果、朝が遅いマイアミでは、早朝営業しているカフェが皆無だということに気づく。
「そこで7時オープンを開始。早朝に開くのはうちの店だけ。多くの来客があります」と、エバさん。ニーズを考慮した戦略はさらに注目されそうだ。

左から:暑い気候でも定番人気の「ラテ」($4.5)。/バリスタが丁寧に作る「アイスラテ」($4.5)。/開始してから、飛ぶようにオーダーが入る「エスプレッソ・トニック」はオレンジの皮つき($5.5)。趣向を凝らした、コーヒードリンクが多く揃う。

Vice City Bean
ヴァイス・シティ・ビーン

一面ガラス張りのモダンなカフェ。元は、オーナー夫妻の二人で、イベントの際に三輪車でコールドブリューを販売するビジネスだった。コーヒーを使った様々な夏のドリンクをサーブしている。
■ https://www.vicecitybean.com

Tinta Y Café
ティンタ・Y・カフェ

 マイアミのカフェの中で、一際キューバのコーヒー文化を継承しているのが、「ティンタ・Y・カフェ」。 何がコーヒーを「キューバン」にするかといえば、いれるプロセスにある。ここでは、コーヒーをいれている最中に砂糖を加え、高温で砂糖を溶かす。コーヒーをいれた後に砂糖を入れるより、甘くはっきりとしたフレーバーがまんべんなく浸透するそうだ。

左から:ビジネス街のコーラル・ゲーブルス地区のオアシスのような存在。2016年に現在のロケーションに移転オープンした。/オーナーのカルロスさんを囲む、陽気なスタッフ達。コーヒーへの情熱が強い。


キューバのコーヒーを、アップグレード。

 キューバの人の間では「ラ・コラーダ」と呼ばれる、ダブルエスプレッソを飲むことが一般的だが、これは非常に濃い。「一人で飲むには強すぎるから、大人数で分けて少しずつ飲むことをおすすめしています」と、オーナーのカルロス・サンタマリアさん。談笑しながら、コーヒーを飲むことも、立派なキューバのカルチャーだという。そこでお店では、無線LANを飛ばさず、「サイバーゾンビにならずに、会話とコーヒーを楽しもう」と呼びかける張り紙をして、コンピューターの使用を控えるよう促している。「インターネットがないと聞いて、怒りだす人もいるけど、コーヒーは是非誰かとのコミュニケーションを通して味わって欲しい」とも。またスペイン語で罪という意味の「エル・ピカーダ」は、コンデンスミルクと牛乳、エスプレッソが入った、とても甘いコーヒー。豊富なカフェインと砂糖で、元気がみなぎってくるそう。
 同店は2005年にオープン。カルロスさんの父親と叔母が家族で経営していたが、間もなく父親が他界して、カルロスさんがオーナーとなった。「マイアミには大手チェーンが進出してくる前から、いつもキューバ系のカフェがありましたが、クオリティはあまり高いとは言えません。これからマイアミのキューバンコーヒーの文化をもっと進化させていきたい」と胸を張る。同店では、情熱的な姿勢と、甘いコーヒーのブームは決して冷めることがなさそうだ。

左から:全面ガラス張りの気持ちの良い店内。オーナーの友人のアート作品や、アートに関する書籍も置いてある。/人気ナンバーワンのメニュー「キューバン・サンドイッチ」($10)と「カフェ・コンレチェ」($3)。/強いので、小さいカップで分けて、少しずつ飲むことがおすすめの「ラ・コラーダ」($2.25)。


Tinta Y Café
ティンタ・Y・カフェ

父親と叔母から現オーナーが受け継いだ、キューバンコーヒーハウス。カフェで、会話を楽しむのもキューバの大切なコーヒー文化。店内では、コンピューターの使用を控えるように呼びかけている。

1ドル($)=約110円(2018年6月現在)

取材・文 長谷川安曇/写真 加藤里紗
更新日:2018/08/23



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