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コーヒー海外事情

ノスタルジックな心地よさが魅力の、ブラウンカフェ

左から:茶色く煤けた内装がアンティークな趣のブラウンカフェの店内。ステンドグラスなどのディテールに、長い歴史を垣間見ることができる。/山盛りのホイップクリームを添えたアップルタルトはオランダのカフェの定番。/オランダ人はテラスが大好き。水辺のテラスが自慢のカフェもある。

 ある統計によると、オランダはコーヒー好き度世界7位。北欧諸国、オーストリア、スイスに次いで、コーヒーを飲まない人の割合が少ないという。確かにこの国では、コーヒーがなければ会議も始まらない。「まずはコーヒー」は、オランダ人の口癖だ。

 17世紀後半に欧州各地で広まったカフェ文化は、このアムステルダムにも深く浸透した。その当時の面影を色濃く残したカフェは今でも街の各所に点在しており、「ブラウンカフェ」と呼ばれて地元の人々に愛されている。

オランダの文化を映し出す、古き良きインテリア。

 ブラウンカフェの特徴は、文字通りに茶色く煤けた内装だ。木製の天井や床、壁は燻されていて、店内は薄暗い。ほとんどの調度品は木製の簡素なもので、照明はテーブルの上の蝋燭と壁ランプだ。昔ながらのオランダの習慣で、テーブルの上に小さな絨毯を置いているところもある。その独特のインテリアからは、この国の文化や国民性、そして長い歴史の中で培われた美意識を垣間見ることができる。

フゼラフなひとときを求めて、ブラウンカフェを訪れる。

 広々としたグランカフェや、モダンなデザインカフェが人気を博している中でも、ブラウンカフェの存在は別格だ。なぜなら、そこにはオランダ人が、味やデザインよりも大切にしている「フゼラフ」があるからだ。

 英語の「コージー」に似た意味合いを持つ「Gezellig=フゼラフ」は、他の言語には該当する言葉がないと言われている。場所の雰囲気だけではなく、集う仲間の顔ぶれや話題、その状況や空間全体が、親密で心地良いことを表現するときに使われる。例えば大嵐の日に、暖かい部屋で友だちとコーヒーを飲みながら四方山話に花が咲いている時、その状況全てを指して「フゼラフ」と表現する。斬新な珍しいものからではなく、慣れ親しんだものの中からじんわりと立ち上るような感覚。新しいもの好きのオランダ人が、その一方で大切にする感性である。

 ブラウンカフェでのフゼラフなコーヒータイムは、ドリップコーヒーとアップルタルトが定番だ。タルトには、山盛りのホイップクリームを添えるのがオランダ式。一方コーヒーは、ベーシックなドリップコーヒーが一般的で、濃縮したミルクを添えてサーブする。そのコーヒーには、驚きのおいしさはないけれど、ほっとするような質素な味わいがある。もともと「ふつうで十分」と考える国民性のオランダ人は、長い間、そんな「ふつうのコーヒー」を愛してきた。

 近年の本格派コーヒーの流行で、オランダ人のコーヒー観も大きく変化した。それでも、お気に入りのカフェとして、ドリップコーヒーしかないブラウンカフェをあげる人が多いのも事実。どんなに腕利きのバリスタが美味しいコーヒーをいれても、古き良きオランダの歴史は作り出せない。ブラウンカフェのノスタルジックな雰囲気は、いつだって訪れる人に「フゼラフ」なひとときを与えてくれるのだ。

Kingdom of the Netherlands
オランダ王国

オランダ主要情報
■ 面積:41,864平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
■ 人口:1,704.8万人(2016年8月、オランダ中央統計局)
■ 首都: アムステルダム
※外務省HPより(2016年10月現在)

取材・文・写真 ユイキヨミ
更新日:2016/12/15



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