コーヒー消費から見る、スペイン人のライフスタイル

スペインコーヒー協会顧問
ジョセップ・ロビラ氏
スペインのカフェでコーヒーを注文する時には、通常、三種類のコーヒーの飲み方からひとつを選ばなくてはならない。「カフェ・ソロ」(ミルクなしのエスプレッソ)、「コルタード」(エスプレッソに少量のミルクを入れたもの)、そして「カフェ・コン・レチェ」(エスプレッソにたっぷりのミルクを入れたもの)だ。「カフェ・ソロ」を飲む人は10~15%にとどまり、ほとんどの人がミルクを入れて飲む。そしてたっぷりの砂糖を入れる。
「ヨーロッパ諸国のカフェでの砂糖の小袋は約5gなのに対して、スペインのカフェで出てくる小袋は約8gなんですよ! この国では濃いエスプレッソコーヒーにミルクと砂糖をたくさん入れて飲む習慣があります」と言うのは、スペインコーヒー協会顧問のジョセップ・ロビラ氏だ。
コーヒー輸入大国のスペインは、年間25万トンのコーヒー生豆を輸入し、その輸入量はヨーロッパで4位につける。これはコーヒー消費大国のフィンランドの輸入量を大きく上回る。しかし、焙煎豆の国民ひとり当たりの年間消費量では、一転して3.85kgと、紅茶が主流のアイルランドに次いでヨーロッパでの最下位を争っている。
「消費量が少ない一因は気候です。スペインのような温暖な国では、フィンランドのような寒い国に比べコーヒーを飲む機会が少ないのは当然といえば当然かもしれません」
コーヒーとカフェは、切っても切れない関係。
スペインに輸入されているコーヒーのうち、アラビカ種は40%で、残り60%がロブスタ種だ。
「ロブスタ種はカフェイン含有量がアラビカ種の約2倍といわれており、ロブスタ種の消費が多いスペインではひとり当たりのコーヒー豆消費量も少なくなるようです」
また、カフェなどの外食と家庭内でのコーヒーの消費量は半々という時代が長く続いていたのだが、近年の経済危機を受けて、外での消費は約37%まで下がり、家庭での消費が約63%に上がってきた。
「そうはいっても、スペイン人好みのコーヒーは、“カフェで飲む”コーヒーの味なんですよ」と、ロビラ氏は言う。カフェで飲まれているコーヒーの種類で見ると、もっとも多いのが「メスクラ(混合)」(48%)。これは通常の焙煎豆と焙煎時に砂糖を添加した「トレファクト」を混合したコーヒーのこと。次に多いのが、通常の焙煎豆「ナトゥラル(自然)」(38.5%)。そしてデカフェ(12%)、トレファクト(1.5%)と続く。
「カフェで出されているコーヒーの味も大事ですが、私たちにはカフェで友人と会話しながらコーヒーを飲む時間が大切なんですね」
スペイン人にとって、コーヒーとカフェは切っても切れない関係なのだ。
※クリックで拡大します。

スペイン
スペイン主要情報
■ 面積: 50.6万平方キロメートル(日本の約1.3倍)
■ 人口: 約4,719万人
■ 首都: マドリード
※外務省HPより(2013年4月現在)